こんにちは。鈴木サキソフォンスクール ジャズ、ボサノバボーカル講師 鈴木智香子です。今まで、【ジャズボーカルって何?】と銘打って、『ジャズボーカルを定義してみよう!』、という試みでずっとお話をさせていただきましたが、こんな拙い文章にも拘らず多くの皆さまにご閲覧いただき、誠に有難うございます。
実のところ、自分の中でも一つの話をまとめ上げるのに、とんでもない時間を費やしており、ホームページをご覧の通り私なんかよりずっと頻繁にブログを更新している鈴木学に「効率が悪すぎる!」と何度も叱られ…結局グレて放置していました(笑)。
そこで次回から心を入れ替え、教室の生徒さんをはじめ、ジャズボーカルをお勉強している方に少しでも役に立つといいなと思う実践的、観念的なお話や私なりのアドバイスなどを中心にエッセイ形式で書いてみようかな、と考えました。
ソロイストの資質
ジャズボーカリストに限らず、ソロイストの資質として、一番大事だと思われるもの…それは、周りの環境にとらわれない、いい意味での空気を読まない『ずうずうしさ』なのではないか、とつくづく思っています。
そのずうずうしさで、周りのみんなを幸せに!
カラオケで歌う場合、「このタイミングで、こういうふうに歌って下さい」といちいち指示され、気が付くと機械に『歌わされて』いることになるのですが、生バンドで歌う時は違います。
生バンドは、生身の人間が演奏するものですし、ジャズバンドに関して言えば、即興性を重視していますので、実際の音を出すまでどんなサウンドになるのか誰にも分からない、という性質を持っています。
その中で歌い手は、フロントに立つ以上、常にどの方向に演奏を進めていくのか、大雑把な地図(楽譜)だけを持たされて(記憶して)舵取りを任されています。ステージの上では誰も「ほら、こっちが君の行くべき道だよ~」と導いてくれる人がいないのです。
そんな不確定要素が満載の状況で、ボーカリストの取るべき姿勢は、ただひたすら『ずうずうしく』、その先に何があろうとエンディングに向かってわき目もふらず、その瞬間のベストを求めてブルドーザーのように前に突き進むのみ、ということになります。そんなボーカリストの背中が、結局バンドのメンバーにも行き先をハッキリ伝えることになるのですね。また、聴く人も安心して聴けるはずです。右足から踏み出そうか左足から出そうか迷っているバンドなんて、聴くのいやでしょう(笑)。
これを「怖い」ととるか、「責任はあるけど、自由で楽しそう」ととるか…私は、是非後者の『なりゆき』や『どの道を通ってゴールに行きつくか分からない』というジャズならではの即興の楽しみを、教室の生徒の皆さんにお伝えしたいと思っています。
2016年2月5日 記す