ジャズ史上に残る偉大なミュージシャンやボーカリストを参考にしながら、ジャズボーカルの基礎を学んでいきます。
ジャズボーカリストが歌っている曲が作曲されたのは、クラシックほどではありませんが、本当に古いです。1920年代、30年代、40年代あたり、そして50年代になると少し新しい曲だな、という感覚です。しかし、それらの曲が世に送り出された時点では、まだジャズの演奏形態で演奏されていませんでした。
それは何故かというと、これらの曲の殆どが『ミュージカルや映画の劇中で歌う目的で創られた』からなのです。ですから、ブロードウェイの舞台やスクリーンの中で歌い踊る俳優たち、そして大規模なオーケストレーションと共にそれらの曲は演奏されていました。
そんな映画や舞台で観客の印象に残った曲が、当時のポピュラーミュージックバンドやポップスシンガーによってピックアップされ、演奏やレコーディングで世の中に広く行き渡り、そこそこヒットし認知度が上がります。映画や舞台の流行が終わっても、その曲が独り立ちし時代を超えて演奏され、やがてその曲は『スタンダードナンバー』の仲間入りをします(しかし、この時点ではまだジャズ・スタンダードではありません)。
やがてその『スタンダードナンバー』をジャズミュージシャン達が取り上げ、ジャズの演奏スタイルを用い、新しい解釈でジャズとして演奏したものが『ジャズスタンダード』として演奏され、ジャズボーカルとして歌いつがれて現在に至っています。
レッスンではその『ジャズスタンダード』となった代表的な曲をご紹介し、レッスンを進めて参ります。
下記の動画3種は、どれもコール・ポーターの1932年の作品『ナイト・アンド・デイ(夜も昼も)』という曲です。上段はミュージカル映画の中で使われたもの、中段、下段は『ジャズスタンダード』となった、ジャズ(ボーカル)として演奏される前と全く雰囲気が違うのにきっと驚かれると思います。
以下、ジャズミュージシャン、シンガーが演奏する同じ曲です。
長らく日本の風土に慣れ親しんでいると、盆踊り・民謡・演歌などの、邦楽のリズムが自然に身に付いています。しかし、その感覚でジャズを歌うとなると…当然、英語で歌ったとしてもジャズボーカルにはなりません。
その原因は、日本語的な英語の発声・発音法や、そこから発生するリズムの取り方にあります。 日本人なら誰もが知らず知らずのうちに身に付けてしまっている日本的なリズムの取り方を指摘し、西洋音楽、ここではジャズのリズムトレーニングや、歌に対応した英語の発音・発声を実践すしていくことで、ジャズのスタイルを身に着けていく基盤をつくっていきます。
ジャズボーカリスト達の歌っている姿は大抵、余計な力が入っていません。例えばステージで10曲以上を歌うのに、全力を使っていたら身体も喉ももちませんし、そもそも歌手としての生活が続きません。発声、呼吸の観点からも、疲れない、リラックスした、頑張らない歌い方を学んでいただきます。
本コースでは、著名な歌手と同じ歌を歌うとしても、単にその歌手の物まねではない、自分自身の表現でありながら、ジャズになっている歌を歌えるようになることを目指し、指導してまいります。
初心者の方は、ジャズヴォーカルに関するFAQもご参考になさってください。